Pythonで高配当株を探す①(企業情報を取得する)

はじめに

積立NISAとiDeCoでETFを購入して資産の運用をしています。個別株にも興味はありましたが、モニターに張り付いて売り買いを行うデイトレーダーのイメージが強くて個別株を購入していませんでした。資産運用を学ぶことで、株の運用には株の売買益(キャピタルゲイン)と株の配当金(インカムゲイン)の2つあることを理解しました。

売り買いのタイミングを判断する手間を掛けたくないあるいは判断できない、ので株の配当金を得ることを目指すことにしました。ネットや雑誌には「この高配当株がよい」との情報がありますが、勉強不足でその良し悪しを判断できていません。

• そもそも高配当株とはどういった株のことなのか。
• 企業のどの情報から高配当株と判断できるのか。
• 企業の情報は四季報以外から取得できるのか。

東証に上場している企業数はおよそ3860あり、全部の企業情報を確認する時間と手間を掛けたくはありません。SBI証券や楽天証券などのネット証券にはスクリーニング機能を提供されているので、指定したスクリーニング条件に含まれる銘柄を選定することができます。

資産運用の学習とPythonの学習を兼ねて、Pythonで企業情報を取得し、その情報から高配当に該当する企業の抽出に調整することにしました。

高配当株の定義

高配当株を探す際、Pythonでどのような企業情報を取得する必要があるのか。
まずは、高配当株についてネットで情報を収集して、高配当株について自分なりに定義してみました。

どうやって企業情報を取得するか

以前、yfinanceを使って企業情報を取得したことがありました。
yfinanceを使用するつもりでしたが、2023年3月25日時点で一部の企業情報を取得できないことを確認しました。
Pythonで企業情報を取得する方法を調べたところ、9つほど見つけました。
それぞれの良い点と悪い点についてまとめてみました。主観となるので、誤った解釈をしている可能性があります。

当初は「Webスクレイピング」で行うつもりでしたが、企業情報の取得方法を調べていくと「yahooquery」が一番使いやすかった＋ネットに情報が多数あったので、「yahooquery」を使用して高配当株を探すことにしました。

yahooqueryで取得できる情報

yahooqueryには様々なモジュール、パッケージ、関数が備わっています。想像以上に取得できるできる情報が多かったので、企業情報を取得するのに使用するであろうモジュール、パッケージ、関数を調査してどのような情報を取得できるかをまとめてみました。パラメータ名の日本語読みと概要は間違えているかもしれませんのでご承知おきください。

balance_sheet：モジュール

• 企業が公開している4年分の貸借対照表を取得できます。
• データ形式はDataframe
• 取得できる情報

cash_flow：モジュール

• 企業が公開している4年分のキャッシュ・フローを取得できます。
• データ形式はDataframe
• 取得できる情報

income_statement：モジュール

• 企業が公開している4年分のキャッシュ・フローを取得できます。
• データ形式はDataframe
• 取得できる情報

valuation_measures：モジュール

• 企業が公開している4年分の評価指標を取得できます。
• データ形式はDataframe
• 取得できる情報

financial_data：パッケージ

• 企業が公開している4年分の評価指標を取得できます。
• データ形式は辞書型

• 取得できる情報

screener：インスタンス

• 条件に一致した銘柄を抽出することができます。
• データ形式は辞書型
• 条件に設定できる情報

企業情報を取得する

実行環境

実行環境は下記となります。

事前準備

下記のコマンドでyahooqueryをインストールします。

# pip install yahooquery

実際に企業情報を取得するコード

トヨタ自動車(7203.T)の企業情報を取得するコードを作成しました。

# ライブラリを読み込む
from yahooquery import Ticker
from yahooquery import Screener
import pandas as pd

# トヨタ自動車(7203.T)の銘柄シンボルを指定して、Tickerオブジェクトを作成する
ticker_num = '7203.T'
ticker_data = Ticker(ticker_num)

# 貸借対照表を取得する
# 取得したデータはDataframe形式
ticker_balance_sheet = ticker_data.balance_sheet()
ticker_balance_sheet.to_csv('balance_sheet.csv')

# キャッシュ・フローを取得する
# 取得したデータはDataframe形式
ticker_cash_flow = ticker_data.cash_flow()
ticker_cash_flow.to_csv('cash_flow.csv')

# 損益計算書を取得する
# 取得したデータはDataframe形式
ticker_income_statement = ticker_data.income_statement()
ticker_income_statement.to_csv('income_statement.csv')

# 評価指標を取得する
# 取得したデータはDataframe形式
ticker_valuation_measures = ticker_data.valuation_measures
ticker_valuation_measures.to_csv('valuation_measures.csv')

# 財務情報を取得する
# 取得したデータは辞書形式
# Dataframe形式に変換してCSVに保存する
ticker_financial_data = ticker_data.financial_data
df_Series_ticker_financial_data = {}
for k, v in ticker_financial_data.items():
    df_Series_ticker_financial_data = pd.Series(v)

df_ticker_financial_data = pd.DataFrame(df_Series_ticker_financial_data)
df_ticker_financial_data.T.to_csv('financial_data.csv')

# 条件を満たす銘柄を抽出する
# most_actives:最も取引が活発な銘柄
# day_gainers:当日の上昇率
# 5:それぞれの条件の上位5銘柄
# 取得したデータは辞書形式
# Dataframe形式に変換してCSVに保存する
s = Screener()
s_get_screeners = s.get_screeners(['most_actives', 'day_gainers'], 5)
df_Series_s_get_screeners = {}
for k, v in s_get_screeners.items():
    df_Series_s_get_screeners = pd.Series(v)

df_s_get_screeners = pd.DataFrame(df_Series_s_get_screeners)
df_s_get_screeners.T.to_csv('screeners.csv')

プログラムの実行結果

プログラムを実行すると下記のCSVファイルを出力します。

次回、試したいこと

高配当株を抽出するための企業情報を一通り集めれそうなことが分かりました。東証に情報しているおよそ3860の企業の情報をすべて取得するプログラムを作成してみたいと思います。