「AI Quest 2021」に参加しました

はじめに

WebでAI関連の情報を収集しているとき「AI Quest」なるプロジェクトを見つけました。

AI Quest〜課題解決型AI人材育成プログラム〜 (ndl.go.jp) から抜粋

プログラムでは、適切なAI実装を実現するための業務プロセス設計などビジネス的側面の検討から、実際のモデル構築企業幹部への導入提案シミュレーションまで一気通貫で学習を行います。また、一部の参加者には実際に企業と連携しながらAIソリューションの導入に取り込みことにもチャレンジしていただきます。

上流工程からAI開発を経験でき、一気通貫で学習を行うことに魅力を感じたので参加しました。

参加を決めたときの知識、技術レベル

AI開発やシステム開発の経験は無く、開発における要件定義のまとめや開発計画を線表作成なども行ったことはありません。参加にしてもついていけるのか、不安しかありませんでした。

参加したときの知識、技術レベルは下記の状況でした。

  1. IT会社に勤務しているが、メイン業務は既成システムの運用保守
  2. AIおよびPythonを用いた開発の経験は無し
  3. 趣味でPythonを用いたAIモデルの作成を行っていた
  4. AIとPython関連で取得していた資格
    – Python 3 エンジニア認定データ分析試験
    – G検定

知識、技術はあることに越したことはありませんでしたが、プログラムの実行環境(Google Colaboratoryなど)を用意できるだけの知識があれば、プログラムについていけると感じました。

AI Questの概要

プログラム期間

プログラムの期間は、2021年9月~2022年2月でした。
期間を2021年9月~10月(第1ターム)、2021年11月~2022年2月(第2ターム)の2つの期間(ターム)に分割して、それぞれで異なる題材の学習を行いました。

学習方式

AI Questの学習方式は2つありました。

  1. 問題解決型学習(Project Based Learning)
    架空会社の課題に対して、課題把握→要件定義→プロジェクト計画→モデル構築→
    検証設計→導入提案を行います。提供される資料には、架空会社の社長や部長、キーマンからヒアリングした議事録、売上データなどが提供されました。
  2. 企業との協働
    実際の企業が抱える課題に対して、AIを用いた課題解決を取り組みます。

第1タームでは、1.のみでした。
第2タームで1.と2.を選択することができ、両方に取り組むことも可能でした。

問題解決型学習の流れ

学習の流れは下記でした。講義形式の座学はありません。

  1. 課題の公開(課題の回答例も公開される)
  2. 課題に取り組む
  3. 課題を自己採点
  4. 課題の提出

課題として、課題把握、要件定義、プロジェクト設計、最終提案書などが提示されました。提示された課題に対して、個人で取り組みました。各課題の提出締め切りまでの間、事務局が用意したslackやzoomを使って受講生同士でコミュニケーションを取り、情報共有を行うことができました。

AIモデルの評価は、テストデータから算出した予測結果を評価サイトにアップロードすると、評価されます。kaggleなどで行われているコンペと同じでした。

架空会社への提案書については、受講生同士で採点しました。採点対象の提案書をダウンロードし、採点結果サイトに入力しました。採点対象の受講生と対面でのやり取りなどはありません。

企業との協働の流れ

受講生同士でチームを組んで企業との協働に取り組みます。
まずは、チームを組みます。

チームの決め方

  1. slackでリーダーを立候補します
  2. slackでリーダーがメンバーの募集をかける
  3. メンバーが集まったらチーム成立

協働プログラムに参加した人が多かったのか、各リーダーがメンバーの募集をかけたら、すぐにメンバー枠は埋まっていました。
私が参加したチームの人数は7名でした。准教授、内科医、研究者、IT営業など、様々な職種の人が集まりました。

打ち合わせの頻度

打ち合わせはZoomを用いました。
チームの打ち合わせは平日週1回、60~90分ほどで、協働企業との打ち合わせは平日週1回、60~90分でした。

チーム内の役割分担

役割分担は特に明確にしませんでした。役割を決めてしまうことで協働の作業が負担となり、本業に影響が出てしまうことを避けるために、役割を明確にしませんでした。

各メンバーが協働企業から提供されたデータの解析を行い、打ち合わせで意見交換を行いました。意見交換を行うことで、データの整理を担当する人やモデルを作成する人が自然に分担が決まりました。モデル作成のアルゴリズムも複数あるので、アルゴリズムごとにモデルを作成する人も決まりました。

協働企業との打ち合わせ

協働企業は、関西のネジ製造会社と行いました。先方の課題は「在庫不足による販売機会損失の低減」でした。打ち合わせを重ねてゴールを「ネジの発注点と発注量をAIで最適化」としました。

打ち合わせは、課題や現状のヒアリング、提供データの確認、プロトタイプ作成の進捗報告を行いました。報告では、主に下記の内容をパワーポイントで報告しました。

  • 提供データの欠損状況
  • 提供データ間の相関関係、季節性
  • 提供データの可視化
  • プロトタイプの予測精度の状況
  • 外部データを用いたプロトタイプの予測精度の状況

協働プログラムの成果について

協働企業に提供したのは下記の2つとなります。

  • 需要予測モデルのプロトタイプ
  • POC分析報告書

モデルを作成するにあたり、提供していただいたデータに不足や欠損がありました。外部データを含めてモデルを作成しましたが、高い精度のモデルを作成することはできませんでした。そのため、2022年3月時点でデータ提供をしていただき、モデルの精度向上を試みています。

精度の向上ができ、協働企業からプログラムの公開許可をいただけたら、ブログで紹介したいと思います。

 

 

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