人工知能システムのプロジェクトがわかる本

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読もうと思ったきっかけ

AI Quest 2021で経営者、管理職向けの人工知能システムの開発提案資料を作成することになりました。人工知能システム開発の提案資料を作成したことがなく、Webで提案資料の作成方法を調べても、具体的なケースを基にした提案資料の作成方法が掲載されたサイトを見つけることができませんでした。

具体的なケースを基に、提案依頼書、開発提案書、トライアル分析(POC)提案書、などの作成方法とサンプルがあったので読むことにしました。

感想

AI Quest 2021の開発提案資料の提出期限4日前に本書を購入しました。
2日ほどで流し読みをして、付録に掲載されている提案資料を参考にして2日ほどで一気に作成することができました。

企画、トライアル、開発、運用保守のフェーズごとのポイントが記載されており、体系的に人工知能システム導入の進め方を1から学ぶことができました。

読む前に疑問に感じていたこと

本書を読むことによって、答えを見つけることができた内容を下記に整理しました。

Q.人工知能システム開発と一般的なシステム開発の違いは何?

A.大きく次の3点が異なり、人工知能システム開発には下記の内容が含まれます。
①企画フェーズのあとにトライアルフェーズ(Proof of Concept)がある
②開発フェーズ内の要件定義時や納品前に、データ分析を行う
③運用フェーズにおいて人口知能システム特有の運用・保守(人口知能のモニタリングやメンテナンス)

開発フローの比較は下記図を参照してください。

Q.トライアル(Proof of Concept)を実施しないと、何か困ることはあるの?

A.トライアルを行わずに開発を行うと、次のような問題が起こりやすくなります。

  1. 精度が出ない可能性のある開発を開始してしまい、企画が成立しないことに気付くのが遅れてしまう
  2. 人工知能に不向きである例外的なデータが予想以上に多く、人工知能でカバーできる範囲が狭くなってしまう
  3. 分析の精度を上げるために際限なくデータの種類を増やしてしまい、開発遅延を招いてしまう

Q.人工知能システム開発でよくあるトラブルは何?

A.企画、開発、運用の各フェーズで起こりやすい問題は以下の通りです。

  • 企画フェーズ
    1. 目的を精査せず開発したことで、ユーザの真の悩みを解決できないシステムを企画してしまう。
    2. 使う人のスキルやシーンを考慮せず、誰も使うことができない。
    3. データが不足しているのでデータ整備が必要になり、企画倒れとなってしまった。
  • 開発フェーズ
    1. 目的を満たすのに必要なデータ量は少ないにもかかわらず、蓄積されている限りのデータを人工知能に入れて実行することにより、想定以上の実行時間やハードウェア環境が必要になってしまった。
    2. システムをリリースした直後には安定した性能を出していたが、運用していくにつれ段々と精度が劣化していく。トライアル用のデータに過度に合わせてしまうケースや最新のデータにメンテナンスするのに手間がかかるケースなどが該当する。
    3. ランダム性の強いアルゴリズムを採用したことにより、システム更新の際に、元の状態から大きく変化してしまうことによって、ユーザがシステムの変化に戸惑ってしまう。新商品などの新規データが次々と増えると起きやすい。
  • 運用保守フェーズ
    1. 人の知見・常識から考えて違和感がある結果を出しているのに、修正がきかない問題。
      機械の不具合の推定など、データ化されていない部分が多く学問的知見や長年の経験があるケースで起こりやすい。
    2. システムが学習していない新しい予測対象が現れたときに、その予測結果が悪くなってしまう問題。災害や造成など大きなイベントのときに大幅にデータが変化してしまうケースで起こりやすい。
    3. 人工知能が出している結果の理由がわからなくなってしまう問題。ディープラーニングなど複雑なアルゴリズムを用い、多量かつ多種類のデータで学習しているケースで起こりやすい。
    4. 1~3までの諸問題の結果、人工知能を修正することができなくなり、止める以外に手段がなくなってしまう問題。

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